古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

2024年4月4日

滋賀県大津市坂本、ここに佇む「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」は、300年以上の歴史を誇る老舗の蕎麦屋です。その風格ある建物は、1887年に建てられたもので、平成9年5月23日に国の登録有形文化財に指定されています。比叡山延暦寺の門前町として栄えた坂本で、九代にわたり守り続けられてきたこの伝統の蕎麦屋は、今もなお、多くの蕎麦好きたちを魅了し続けています。

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

手打蕎麦 鶴㐂の歴史とこだわり

「手打蕎麦 鶴㐂」の始まりは、延暦寺の厨房を担当していた初代鶴屋喜八が、1716年に坂本で創業したことに遡ります。栄養豊富な蕎麦は、延暦寺の修行僧たちにとって貴重な食糧であり、断食明けの胃に優しい食べ物として重宝されていました。創業以来、九代にわたってその伝統の味と技術が受け継がれています。

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

「手打蕎麦 鶴㐂」は、その日の湿度や温度に合わせて蕎麦粉と小麦粉の配分を調整し、最良の蕎麦を提供することに努めています。基本の配分は蕎麦粉8割、小麦粉2割ですが、天候や蕎麦粉の状態により、水の量やつなぎの配分を微妙に調整します。この手間を惜しまない姿勢が、「手打蕎麦 鶴㐂」の蕎麦の美味しさの秘訣です。

また、素材へのこだわりも徹底しています。創業当時から石臼で蕎麦をひいていましたが、戦前の火事以後は地元の(株)山本そば製粉と連携し、国内産の上質な蕎麦のみを使用しています。だしには、さば、うるめ、めじか、鰹の厚削りと、1年以上寝かせた利尻昆布を使用し、醤油は地元産の天然醸造のものを使用しています。創業当時から絶やすことなく継ぎ足されてきた「かえし」は、こくのあるまろやかなそばつゆに仕上がっています。

美しい庭園と歴史的建物

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

「手打蕎麦 鶴㐂」の魅力は、蕎麦の味だけではありません。その建物と庭園も訪れる人々を魅了します。中庭の「折鶴の庭」は、比叡山と琵琶湖を模した築山枯山水で、苔の緑やツツジ、白砂が織りなす風景は、まるで絵画のようです。平安時代の春日燈籠が中心に据えられており、古の風情を感じさせます。

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

前庭の「琴音の庭」は、蕎麦打ちをイメージした石庭で、井筒や飾り挽臼、那智黒の石が配置されています。かつては水琴窟があり、その風流な音色を楽しむことができました。現在は地中にある瓶の損傷により利用できませんが、その趣は今も残されています。

訪れる価値のある老舗の味

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

私が「手打蕎麦 鶴㐂」を訪れたのは、春の風が心地よい日のことでした。まず目を引いたのは、重厚でありながらどこか温かみを感じる建物の佇まいです。入口に掲げられた「享保元年創業」の看板は、長い歴史と誇りを感じさせます。暖簾をくぐると、そこには昔ながらの風情が漂う空間が広がっていました。

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

店内に入ると、まず迎えてくれたのは、木の温もりが感じられる内装と、スタッフの笑顔。昔ながらの電話機や階段が、歴史の一部を垣間見せてくれます。厨房では、今も手打ちの技術が受け継がれており、その光景はまさに職人技の賜物です。

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

今回私がいただいたのは、「近江むすびそば」です。三段重ねの器に盛られた蕎麦は、それぞれに異なるトッピングが施されており、一口ごとに違った味わいを楽しむことができました。特に印象に残ったのは、天ぷらのサクサクとした食感と、そばのしっかりとした歯ごたえです。つゆの風味も絶妙で、そばとの相性が抜群でした。

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

感動の余韻

「手打蕎麦 鶴㐂」を訪れたことで、私は改めて蕎麦の魅力とその奥深さを感じることができました。300年以上にわたり受け継がれてきた技術と味、その背後にある職人たちの努力とこだわりに、深い感謝の念を抱かずにはいられません。

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて

この場所で味わう蕎麦は、単なる食事ではなく、歴史と文化、そして人々の思いが詰まった一品です。ぜひ、多くの人々に「手打蕎麦 鶴㐂」の蕎麦を味わい、その魅力を感じていただきたいと心から願っています。伝統の味を守り続ける「手打蕎麦 鶴㐂」、その一杯の蕎麦には、職人たちの熱い思いが込められているのです。

手打蕎麦 鶴㐂(つるき)の情報

  • 所在地: 滋賀県大津市坂本4-11-40
  • 電話番号: 077-578-0002
  • 営業時間: 11:00~15:00(ラストオーダー14:30、時期によりラストオーダー15:30)
  • 定休日: 元日、毎月最終月曜日(4月と12月は第4月曜日、8月は最終月火連休、11月は無休)
  • アクセス:京阪石坂線 坂本比叡山口駅下車1分、JR湖西線 比叡山坂本駅下車10分
  • 駐車場: 第1駐車場8台、第2駐車場16台(無料、普通乗用車のみ)

庭園

古の味わいを今に伝える「手打蕎麦 鶴㐂(つるき)」大津市坂本にて
  • 折鶴の庭: 中庭、比叡山と琵琶湖を模した築山枯山水
  • 琴音の庭: 前庭、蕎麦打ちをイメージした石庭

ぜひ、手打蕎麦 鶴㐂(つるき)で、伝統の味と風情をお楽しみください。