かたたや物語
ある日、旅行好きな老夫婦が「門前茶屋かたたや」を訪れました。二人は、歴史のある建物に足を踏み入れると、すぐにその魅力に引き込まれました。木の温もりを感じる内装、落ち着いた雰囲気の中で、二人はゆっくりと食事を楽しむことにしました。
まず、老夫婦が注文したのは「近江牛の肉つけそば」です。冷たいそばと、温かいつけ汁の絶妙なバランスが特徴で、近江牛の旨味がたっぷりと感じられる一品です。つけ汁の中には、柔らかく煮込まれた近江牛がたっぷりと入っており、そばとの相性も抜群でした。老夫婦は、その豊かな風味に感動し、「これは本当に美味しいね」と顔を見合わせて微笑みました。
次に注文したのは「山芋とろろ月見そば」です。こちらは、冷たいそばの上に、とろろと生卵が乗っており、見た目も鮮やかで食欲をそそります。とろろの滑らかな食感と、そばのコシのある歯ごたえが絶妙にマッチし、シンプルながらも奥深い味わいを楽しむことができました。特に、卵黄を崩して混ぜることで、さらにまろやかな風味が加わり、一口ごとに違った美味しさを感じることができました。
歴史の息吹を感じる「門前茶屋かたたや」
江戸時代後期の天保2年(1831年)、中山道守山宿の東門院の門前に「堅田屋」という茶屋が開業しました。旅人の休憩の場として、お茶や食事、お酒を提供し、旅籠としても利用され、多くの旅人がここで旅の疲れを癒しました。
その歴史ある茶屋は、178年後の平成21年(2009年)に「門前茶屋かたたや」として生まれ変わり、伝統的な梁や柱、土壁、格子、虫籠窓、階段箪笥などを残しながら、新たな食事処として再出発しました。そして築190年を迎える令和3年(2021年)には、「十割そば」のお店としてリニューアルされました。
古の趣を残す空間
「門前茶屋かたたや」は、古の趣を感じさせる空間で、お年寄りから若い方までが気軽に集まり、自慢の十割そばを楽しむことができます。店内は、江戸時代の旅人が過ごした時代の雰囲気をそのままに、現代の快適さを兼ね備えた設計となっています。歌川国芳の浮世絵「木曽街道六十九次之内守山」には、達磨大師が守山宿でそばに舌鼓を打つ様子が描かれており、その風情を味わうことができるのもこのお店の魅力の一つです。
心地よい時間と満足感
店内の雰囲気も相まって、老夫婦はここで過ごす時間を心から楽しみました。木造の梁や柱が美しい空間で、庭の緑を眺めながらの食事は、まるでタイムスリップしたかのような気分にさせてくれました。また、スタッフの対応も親切で、気持ちよく過ごすことができました。
「門前茶屋かたたや」の訪問は、老夫婦にとって素晴らしい思い出となりました。歴史と伝統を感じながら、美味しい十割そばを楽しむひとときは、何物にも代えがたい貴重な体験です。またぜひ訪れたいと思いながら、老夫婦は店を後にしました。
店舗情報
十割そば 門前茶屋かたたや
- 住所:守山市守山2-2-55
- 電話:077-514-1778(予約不可)
- 営業時間:11:00~15:00(LO)、蕎麦がなくなり次第終了、12/31は21:00まで営業
- 定休日:毎週月曜日、年始(1/1~1/4)休業
歴史と味わいが織り成す「門前茶屋かたたや」、ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してみてください。